野田地図/NODA・MAP第11回公演
『贋作・罪と罰』
【脚本・演出】
野田秀樹
【出演】
松たか子(三条英)
古田新太(才谷梅太郎(坂本龍馬))
段田安則(都司之助)
宇梶剛士(溜水石右衛門)
美波(英の妹・智/警備隊)
野田秀樹(英の母・清/老婆おみつ/警備隊/将軍)
マギー(志士クロダ/目付謹之進/左官屋/瓦版屋/門番/塾生)
右近健一(志士ヤマガタ/男2/塾生)
小松和重(志士イトウ/左官屋仁助/送金の男/塾生)
村岡希美(おつば/下宿屋女主人/酒場の女将/旅籠屋の女将/志士ムラオカ)
(2005年12月〜2006年1月上演作品)
ロシアの文豪・ドストエフスキーの名作
『罪と罰』
の舞台を日本の幕末に置き換え、倒幕の志に燃える女塾生を主人公にした作品。
初演は1995年。
当時の主演は大竹しのぶ・筧利夫。
これも再々放送あたりでようやくキャッチ‥‥よかった。
前後を客席で挟んだシンプルな舞台。
物語は、突然、英(はなぶさ)が金貸しばばあを殺めてしまう場面から幕を開ける。
初演を今は無き近鉄劇場で見たのですが、当時の野田氏としては言葉遊びが少なく、非常にド直球な作風に面食らった記憶があるんですよね。
椅子とポール、シートを使った場面転換や効果音などを、舞台周囲で待機している俳優達が担当した今回の再演は、演出もずいぶんスマートになっている気がしました。
野田作品が苦手な人には、比較的見やすいんじゃないかな。これ。
“思想”
と
“罪を犯したことに対する良心の呵責”。
二つの狭間で怯え苦しむ英。
松さんの凜とした雰囲気が、理想に突き進まんとする主人公とうまく重なり、
追い詰められ、狂気の淵へと墜ちて行くあたりからは圧巻の一言。
自らの理想であり希望であり愛である才谷に刃を向けた後の慟哭は、胸を抉られるような衝撃と痛みを伴って響いて来る。
大竹さんの、あっち側(笑)に行っちゃったような凄さとはもちろん違うのだけれど、
あちら側に行けないからこそ、震えながら必死で立っている姿が哀しくも美しい。
彼の方と書いて彼方。
だから、貴方のいるところがいつでも私の彼方なのだ、
というくだりは、何回見ても涙があふれます。
そんな、英の彼方である才谷。またの名を坂本龍馬。
この戯曲をミュージカルに仕立てた
『天翔ける風に』。
(香寿たつき主演)
その才谷役・畠中洋さんを見ながら
「あと7,8cm背が伸びてくれれば‥‥」
と呟いたのと同じく、演じた古ちんに対して、
「あと7,8kg痩せててくれたら‥‥」
と思ったことは反省しない(笑)が、
それでも、やっぱり上手いのだ。かっこいいのだ。困ったことに。
また、英を執拗に追い詰める、現在で言うところの刑事・都役の段田さんにも唸る。
おそらく、遊眠社後の野田作品にはあまり出ていらっしゃらないと記憶しているのですが、野田さんの書いたセリフを野田さんの演出通りにしゃべっても、主導権を握っているのはあくまで段田さん。
その落ち着きがさすがですよね。
来月のWOWOWでは、昨年末に上演された、
妻夫木聡&広末涼子主演
『キル』
はじめ、
昨年演劇賞を総ナメした
『THE BEE』、
'97年版『キル』、
『ロープ』
などが再び放送されるそう。
実は、
『ロープ』
は、あまりにテーマが過酷過ぎて、感想上げられてないんですよねぇ。
『ミス・サイゴン』
の数倍、腹にズシッと堪えると言うか。
これを見てから後、
“お綺麗に”
歌い上げられた
「ブイ・ドイ」
を聴くと、ムカッと来るのはアタシだけなんでしょーか(苦笑)。
(決して、アメリカがやらかした他人事じゃねーんだぞ、ってこと。
そこを感じさせてくれるジョン求む)
好き嫌いは顕著に分かれる作演出家ながら、演劇が持つ力、可能性をこれほど強く感じさせてくれる創り手は他にいないだけに、やはりチェックはしておきたいところです‥‥よね?
(実はニガテな部類だったり‥‥)
2008年03月23日
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