KOKAMI@network vol.7
『トランス -youth version-』
(2005年11月上演)
【作・演出】鴻上尚史
【出演】高橋一生/すほうれいこ/瀬川亮
鴻上さんが、劇団員への宛て書きではなく、誰が演出しても誰が出演しても成り立つように、との意図で書いた初めてのウェルメイド作品。
以来、学生演劇含め、上演回数は1000回を超えているそうで、間違いなく鴻上戯曲の最高傑作。
その鴻上さん自身が久々に自ら演出を手掛け、
20代の俳優が演じる“youth”バージョンと、
30代(?)俳優が演じる“elder”バージョン。
2種類を製作、上演したのがこの2005年版になる。
(“elder”キャスティングは、みのすけ/松本紀保/猪野学)
きわめて無機質なセットの中に登場する人物は3人のみ。
フリーライターの立原雅人(@高橋一生)は、日常生活を送る中で時折記憶が抜け落ちるようになり、ある日、病院を訪ねる。
そこで偶然出会うのが、高校の同級生であり、かつての恋人でもある精神科医・紅谷礼子(@すほうれいこ)。
医者と患者として再会を果たした二人。
そこにまた、同じくかつての同級生で、今は二丁目のゲイバーで働く後藤参三(@瀬川亮)が加わり、三人は嬉々として旧知を暖める。
しかし、
雅人の離人症は徐々に悪化して行き
“他人である私”
が現れはじめる‥‥。
初演を二度、見た。
以来、見ていない。
私の年代ではかなり珍しいと思うのだが、
だから、私にとっての
『トランス』
は、
小須田康人
長野里美
松重豊
が全てになってしまっていて、
たとえアタシの脳内が
“高橋一生祭開催中〜♪”
だったとしても、見る前から分が悪いなぁというのは想像できたんですけどね‥‥、
という前置きをまずしたうえで(笑)、
では率直な感想を。
作品としては
“これもアリ”
だと思った。
この先も様々に上演されて行く作品なんだろうし、
戯曲の可能性を探る意味においても、十分意義は感じられる上演だったと思う。
ただ、
初演を見た時に受けた衝撃であったり、胸が押し潰されそうな痛み・苦しみと、その先にある救いのようなものはあまり感じなかったかな。
戯曲や演出にさほどの変更点はないため、演じる側の青さによるものか、受け取るこちらの経年変化(笑)によるものか、どちらかってことになるんだろう。
実際、当時はアタシ自身が病んでたし。
初演の三人には
“己れの中に内包している闇”
から精神を病み、
だからこそ、
手を繋ぐのがこの3人でなければならない
“意味”
を感じたのだが、
今回の若手3人に関しては、少し印象が違う。
なんと言うんだろう‥‥どちらか言うと、外的要因に打ちのめされ、逃げ込んだ先のトランスといったイメージか。
その中で、震えながら肩寄せ合ってる感じはあったし、仲良しの同級生には見えるのだが、
この3人でなければならない
“切実さ”
は薄いのかなと思った。
それが悪いとは言わないし、だから
“これもアリ”
なのだけれど、戯曲をもっと生かすことはできたかもしれないと感じる。
コメンタリーを聞いて、納得のいった部分でもあるのだが、
演者3人の中で、
戯曲の読み込み方、役との駆引きなど、技術の上手い下手だけでなく、意識に違いがあり過ぎるんだなぁ。
それが、
“仲良し”
には見えるけれど、魂が欲している
“愛する人”
とは感じられなかった理由かもしれないなと。
切実に繋がりを求めるヒリヒリした感じがないのだ。
鴻上さんが、youthにそこを望んでいないのならば、まったく申し訳ない限りながら、正直なところ物足りなさを感じてしまった。
(-_-)
統合失調症である雅人を演じた一生くんは、さすがに終始安定。
途中、別人格である立原天皇にすり変わった時には、天皇というより、小須田さんが降りて来たのかとびっくりしたけれど(笑)、全体を通して見ても、手塚とおる・三宅弘城・河原雅彦と、ちょいとクセのある面々を周って、振り出しに戻った感じかな。
っつーか、
まだ、あったんですな。天皇三段オチ(笑)。
コメンタリーで本人がこと細か〜く解説してくれたように(聞けよっ、瀬川っ<爆>)、
戯曲の読み込み方がズバ抜けて深い。
それは褒められてしかるべきことなんだろうが、技術的にも頭ひとつ抜きん出てる人だけに、結果的に今回に限っていえば、周りとの温度差から
“ひとり上手”
に見えてしまって、ちょっとバランスが悪かった。
己れの中の
“空(くう)”
に気付いて怯えてるぶんだけ、役の上でも、雅人が一つ成熟してると言えなくはないんだけれど。
う〜ん難しいとこだなぁ‥‥。
なお、祭開催中につき付け加えておくと、俳優としての引き出しをフル稼働してくれていて、その幅の広さに感心させられもするので、外山や駒井で気になっている方がいらしたら、買って損はないですよん♪
と背中は押しておきたいと思います。
ぜひ、びみょーなダンスで癒されましょう(笑)。
(鴻上さんの将来的野望に
『朝日のような夕日をつれて』
youthバージョンを作りたいというのがあるそうで、
超個人的希望では、一生くんにも
“ゴドー1”
あたりで入ってもらいたいんだよなぁ。
(部長は絶っ対に山本くん希望なのさ♪)
“スーツで川崎悦子”
いかがでしょう?
頑張ってみてはもらえませんかねぇ‥‥)
続いて、
紅谷礼子役のすほうさんについては、うん、もうね、実際大変だと思うんだな。
この役に関しては、どうしたって長野里美女史と比べられてしまうわけで、しかも、声質がまた里美さんとよ〜く似ているのが気の毒というかなんというか‥‥。
別の舞台で見た彼女に決して悪い印象はなかったし、澄んだよく通る声には、これからを期待したくなったものである。
ただ、
この作品を深くするも、ごく表面的なサスペンスにしてしまうも礼子次第なところがあり、
その責任を担うには、セリフに追い立てられている様子がありありの彼女では荷が重かった‥‥ということなんだろう。
30歳を過ぎた彼女で、もう一度見てみたいかな。
意外だったのは、瀬川くんの参三が許容範囲だったことか(笑)。
いや、もしかすると参三って、
“核心”
さえ揺るぎないものであるならば、一番なんでもアリなのかもしれないのだが、
(なにげに、瀬川くんに対してひどくないか?アタシ)
観客にとって、この作品の中で
“絶対の真実”
があるとすれば、それは参三が抱く雅人への愛に他ならない。
喜怒哀楽の表情が豊かな瀬川くんからは、その真っ直ぐな思いが伝わって来たし、
確かに青い。
悲哀は薄いかもしれない。
でも、私は、心をつかまれる瞬間が少なくなかった。
やるじゃん、瀬川くん。
コメンタリーのキミは酷すぎるけどな〜(笑)。
とりあえず、
『宝塚BOYS』
スタッフの方へ。
くれぐれも瀬川くんにだけは、同じ衣装を2着ずつ作ってあげてください。
よろしくお願いします。
松重さんとは別の意味で、最前列では見たくない人だ(笑)。
(;^_^A
物語は、
ラスト30分あたりから二転三転を繰り返し、
『薮の中』
を彷彿とさせる世界は、見る者を翻弄する。
何が妄想で何が現実なのか。
真実を語っているのは誰なのか。
そもそも真実なんて存在するのか。
たぶん、
正解は、ない。
そしてある意味においては、全てが真実でもあるのだろう。
《あなたのそばに私がいること。
私のそばにあなたがいること。
すべてはそこから始まるのです。
私の愛する人は、
精神を病んでいます。
ですが、
私は、
とても幸福です‥‥》
決して一般的な幸せじゃないかもしれない。
それでもやはり、
彼らはこのままでいいんじゃないかなと感じ、
私も、
いびつな私のままでここにいても構わないんだよ、
と赦された気がして、
その脆い儚い幸福感に泣きたくなった。
※特典としてオーディオコメンタリーあり
(鴻上尚史/高橋一生/すほうれいこ/瀬川亮)
⇒なぜだか聞くのにものっそ疲れる副音声(笑)。
新感線みたくもっと人数が多かったこともあるし、
『リンダリンダ』みたくかなり長時間な場合もあったはずなんだが、
この人達、
ベクトルの方向がバラバラ過ぎて、なんだかヘトヘトに。
ちなみに鴻上さんはほとんど喋ってません(笑)
なお、
こんなところだから好き勝手言わせてもらうなら、
アタシは瀬川亮と付き合う大変さの方がまだ大丈夫な気がするなぁ。
頭の回転が早いのはわかるんだが、
セットについての説明を
『観念的なものなんですね』
の一言でバッサリ括って、鴻上さんを絶句させちゃうような人は、やっぱりしんどいよ、一生くん(苦笑)。
2007年12月27日
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『トランス』感想
Excerpt: すごく、いい。芝居がこれほどおもしろいとは。TVのドラマが大好きでも、舞台は初心者。大好きな高橋一生さんの演技が見たくて買ったのですが、引き込まれてしまいました。...
Weblog: nene mode
Tracked: 2008-01-18 01:17
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Excerpt: すごく、いい。芝居がこれほどおもしろいとは。TVのドラマが大好きでも、舞台は初心者。大好きな高橋一生さんの演技が見たくて買ったのですが、引き込まれてしまいました。...
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Tracked: 2008-01-18 01:17



いいと思うけどなぁ・・・
(食いつくところが間違ってますか?)
(・・?
そりはね。
クリスマスイブを、最前列で松重さんの唾浴びながら過ごしたことがないから言えるのよ。
(-_-)y-~~
(一番食いついて欲しいとこに来てくれてありがとう)
ヽ(’o’)/
(間違えなくてよかったわ・・・(u_u))
そうじゃろう。
そうじゃろう。
芝居を見ながら、
「あー、この服、洗えなかったんだよなー。クリーニングかぁ‥‥」
とか心配する経験は、なかなか羨ましいじゃろう。
(絶対違う)
(-_-)b
舞台のDVDを見たのも初めてで、舞台自体も昨年はじめて『書く女』を見たので、圧倒されました。
医龍で一生さんのファンになって、どうしても舞台での一生さんが見たくって買って見て感動して感想を書いたりしてました。
でも、めいさんの文章を読んでてると初演を見てみたいような、舞台ってものをもっと見てみたい!って思いました^^
一生さんのこともたくさん書いてあるので、何だか読むのが楽しみです。
高橋一生さんで検索かけてきましたが、好きな俳優さんが出てても、いいものはいいし、まずいものはまずいって書いてあるほうが素敵だとおもいましたよ☆
>☆12月の検索数☆
長くなりました!
はじめまして。
こんな辺境地にお越しいただいたうえ、コメント(&TB)までありがとうございますっ↓↓
“善し悪し”
と
“好き嫌い”
をきちんと分けて見たいな、というのがどうにも性分のようで、こんな有様になっているのですが、下地に必ず愛があることだけは伝えたいなと思っているので、他でもない一生くんファンの方にそんな風に言っていただけて、ちょっと安心しました(笑)。めちゃめちゃ嬉しかったです。
(≧▽≦)
舞台やドラマ、もちろん一生くんの出演作含め、好き勝手に呟いているだけの場所ではありますが、よろしければこれからも仲良くしてやってくださいね。
寧々さんのブログにも遊びに行かせていただきますっ♪
(^-^)/